局地戦闘機『震電』ゼロベース制作(1/700スケール模型) - その1

 局地戦闘機『震電』の1/700スケール模型を作成した際の作業記録です。



無料の3Dモデリング ソフトであるBlenderでデジタル制作して、3Dプリンタで出力しています。

(3Dプリンタで作ってみた系のブログ記事はけっこうありますが、
観測範囲では内容はほとんどがプリンタの精度の話などで、ノウハウについても出力失敗時の硬化時間の工夫くらいで、
出力するためのモデルの作り方とか、実際に作っているときのトライアンドエラーの話はあまりされていないような気がしていたので、
そういう内容をいくらか含んでいます。)

『震電』は第二次世界大戦時に大日本帝国海軍により試作された局地戦闘機で、
前翼型(エンテ型)・推進式(プッシャー式)の、めずらしい形をした高速戦闘機となっています。

試作のみで終戦を迎え、実戦では使用されていません。

今回はこの『震電』を、艦船模型など組み合わせやすい 1/700 スケールで作成しました。

似たようなものには、艦船模型と合わせるための 1/700スケール 戦闘機の、
- ピットロード 1/700 スカイウェーブシリーズ 世界の現用戦闘機セット 
(F-15C, F-15J, タイフーン等)
- 静岡模型教材協同組合 1/700 ウォーターライン 日本艦載機 前期型
(零戦21型、99艦爆、97艦攻、彗星)
などが模型メーカから出ています。

主な仕様:
- 艦船模型と合わせやすい1/700スケール
- 艦船模型と合わせるので脚ありの接地モデルとする
- プロペラあり
- 船体外板のラインを入れて、ある程度ディティールをもたせる
- 3Dプリンタ出力と、塗装などの加工作業、移動や輸送を気軽にできる丈夫さ
- 扱いやすく手間のかからない一体型
(注意:足が折れやすいと思われるので対処が必要)

資料:
「異端の空」(文春文庫/渡辺洋二)
「幻の戦闘機」(光文社NF文庫/碇義郎)
参考:
wikipediaの震電のページ
https://仮想艦隊.jp/cms/blog5.php?itemid=139 の「震電オリジナルの図面」




スケール算出:
制作の前にサイズ感を得ておく。
同規模の競合である零式などはおおむね1円玉の上に乗るサイズであることが作例などからわかっています。

全幅11m の 1/700 = 1.571cm

また震電の実機サイズはあらかじめわかっています。
そこで制作は簡単のため原寸(1/10^nスケール)で行い、出力の段階で1/700スケールに変換することとしました。

変換の際にかける係数:(1/700)*100 = 0.1428571% 142.85


モデリング
まずはサイズのわかっている機体と翼を仮置きします。




震電の翼は翼端20度取り付け15度になっていましたので、翼をそのように作成。
とはいえ模型として作るぶんには外観が合っていれば取り付け角はどうでもよいため、このあとの作業での微調整では取り付け角はいいかげんに扱っています。

給気口、操縦席、各翼を追加していきます。
操縦席は悩みましたが、1/700スケールの必要ディティールと出力可能精度から、一体の塊としました。

ざっくりと足を追加。



ひととおりパーツが揃ったので、ここで出力できるか検証するため最初の3Dプリントをかけます。

今回、3Dプリント出力に使ったのは以下:
3Dプリンタ:Photon Mono SE
スライサAPP:CHITUBOX(for Linux 1.9.0)
レジン:エキマテ(低アレルゲン水洗いレジン)

スライサAPPで、モデルデータを3Dプリンタの出力データに変換します(スライシング)。

前述のとおり、スケール変更はこのスライシングのタイミングで行います。



スライシング作業で難しいのは、パーツ分割・出力角度の決定・自動ランナーの調整です。

スライシングの際、出力物の角度を調整します。
この角度の決定が難しく、(ここは細かい話をするのが大変なのでざっくり書きますが)
- 層出力中に宙に浮かない角度を見つける
- かつ、積層に対して45度以上の垂直な面をめざし、できるだけ水平に近い面を減らす。
- 自動ランナーが良い位置にランナーを生やしてくれる角度を探す。
などがあります。

3Dプリントでは浮いているものはランナーを生やしてつなげる必要がありますが、パーツ位置によりランナーをつけたくない箇所もあったりします。
浮かない角度をつけることが不可能ならパーツ分割です。
水平の面を減らすことについて、ほとんどの出力物は45度角ほどある部分があるため、あちらを立てればこちらが立たず(物理的に角度が寝る)のを、良いようにとりなす角度をを見つけなければなりません。
スライシングソフトの自動ランナーは不完全なので、手作業で補完しなければなりません。
必要な箇所にランナーがつかなかったり、不要な箇所・切り取りづらい箇所にランナーがついたりします。
モデルのサイズが大きかったり形状が複雑だと、手作業でランナーを調整するのも限界があります。



実作業では、出してみてダメだったらアレコレ調整、を何度か繰り返すことになります。
出力角度の調整も、そのうちのひとつです。

以前、伊507やイリスヨナを作ったときは、ツルツルの断面に自動ランナーが上手くつかないため、ランナー接着用の突起をわざわざモデルの断面部に追加したりしました。
また、パーツ分割でもいろいろ苦労したので、一体型の震電はそこについては楽です。
(大きいものはプリントサイズに納めるために分割が必要。
複雑な形状のものは層で出力しようとすると支えるためのランナーを付けられず空中に浮いてしまうため、やはり分割が必要になってしまう。)
(できれば中空構造にすることでレジンを節約したい、というストレッチングゴールもある。)

ランナー接触面の設定、という悩みどころもあります。
これは小さいほど出力物をランナーから切り離すのが楽なのですが(プチプチと楽しい音で手でちぎれる)、支えが小さいということは印刷中に出力物が木になったりんごのように落ちて失われる可能性が増えます。




初期の出力結果は、プロペラ部分と後足がきちんと出力されませんでした。
どうやら細すぎて印刷中に千切れてしまったようです。
また、プロペラが千切れたことでボディの支えも失われて、機体後部が出力されないことが繰り返されました。

都度プロペラを太く修正しつつ、支えも太くなるよう設定を調整していき、だんだんと出力結果が良くなっていきます。
しかしプロペラ〜機体後部まわりがどうにも安定せず、苦労しました。

最終的に、UV照射時間を1sec->1.5secへ伸ばして硬度を上げることで、出力に成功しました。
(Photon Mono SEは基本的に、1層あたり照射時間1secで出力可能。)
小さいモデルの出力には照射時間を伸ばすのが有効のようです。
なお、出力時間は伸びますが、40min->50min程度でした。印刷中には台座の移動時間などもあるため、単純に1.5倍にはなりません。



続きの記事では切り込みラインによるディティール追加と、量産、ついでに色つけについて書く予定です。

 

 

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