mkwin_mnを作りました (Makefile in Windows toolkit)

mkwin_mnとは

小規模なMakefileを、Windows環境で動作させるための互換用ファイル群です。
主にMakefileの $(MKDIR_P) と $(RM) のWindows版を提供しています。
というかそれだけです。

用途に対して実用的であれば良しとしています。Unix CLIとの互換性は、高くはありません。完全コンパチを目指すつもりもないです。



ダウンロードする

GitHubで公開しています。
あなたのプロジェクトの中から git clone などしてください。
$ git clone https://github.com/MichinariNukazawa/mkwin_mn

## 使い方

ダウンロードしてきて、あなたのプロジェクトの Makefile にインクルードするだけです。簡単ですね。
include mkwin_mn.Makefile
非Windows環境との切り分けは、呼び出し側のMakefileでやってもらうようにしました。
そのほうが、環境のフラグに好きな方法を使えるから良いだろうと考えています。

Windows環境のmakeによる Makefile実行で、変数からの機能呼び出しにより mkdir -prm -f  (rm -rf) のようなことができるようになります。

具体的な使い方の例は、添付してある example_project を参考にしてください。

## mkwin_mnのターゲット

小規模プロジェクトの手書きのMakefileがターゲットです。

循環定義的ですが、小規模プロジェクトとは、今どきMakefileを手書きしているようなプロジェクトを指します。

## 動機

開発の動機は、現在Ubuntu環境で作成中のGtk3アプリケーションをWindowsでビルドしようとしたら make clean が機能しなかったから、です。

## mkwin_mnのアプローチ

2016年現在、GNU Makeを置き換えうる、次世代ビルドツールは乱立しています。
新言語には新ビルドツールが付いていて当たり前の雰囲気です。
次世代ビルドツールは当然のようにUnix/Windowsコンパチなので、どれかに移行できればWindows非互換問題は片付きます。

私はMakeはそれなりに黒魔術だと思うので、より良くサポートされた汎用ビルドツールがあるなら、積極的に切り替えたいです。

しかし、次世代ビルドツールはどれも普及度がイマイチで、Web上にエラー解決の情報が不足しています。文法エラーなどで詰まると、そのまま死ぬ。
その点、Makeは優秀です。ほかの追随を許しません。実環境で30年近く叩かれまくっているので、ワークアラウンドとナレッジが溜まっています。大抵の問題は、検索してStackOveflowなどを読めば解決します。


Windows環境に足りないもの(MKDIR_P, RM)を足してやる、というのがmkwin_mnのアプローチです。
既存のMakefileに(ほとんど)手を加えません。
GNU Makeのエコシステムに乗ったままでいられる、という他にはないメリットがあります。

## 実装の詳細

ざっくり実装について。ここから下は適当に流し書きしています。

win:MKDIRはUnixセパレータ'/'を指定しても大丈夫。
win:RMとwin:RMDIRは'\'で渡してやらないと駄目。
というわけで、文字列置換。
bat変数でも、bash変数やMakefile変数と似たような置換の文法が使えた。
ただし、batで変数を扱うには魔法が必要だった。
この魔法が何という文法なのかわからない。検索しようが無い。

今回batファイルを書きましたが、Windowsバッチはよくわかりません。
C++における江添氏のような文法解説がほしい。MSのエバンジェリストの方々はきっとAzureでPowerShellでMSSQLをどうこうするのが忙しいでしょうから期待できないですが。

!cons.batは私のバイブル「30日でできる OS自作入門」由来。
MinGWのmakeにエイリアスをかける拡張をしています。



『Makefileのコマンド変数をWindows用に置き換えて、バッチを呼び出す』
という大枠にしました。
『Unix CLIと同じexeファイルを用意する』
というアプローチは、いろいろ面倒であることが予想されたので、早々に諦めました。

バッチはbatとvbsで少し悩みました。多少は早くて軽くていろいろな環境で動くだろうと思って、batにしました。
vbsのほうが複雑な機能を書きやすいはずなので、もっと複雑な処理が必要になったら、その時はvbsで書き直すかもしれません。
どちらにしろ速度は大して出ないでしょうし、速度を求めるようなモノでもないと思います。

今後について

開発動機は現状で満たしてしまったので、今後の機能追加は無いかもしれません。

リポジトリのTODOにTestと書いてある通り、とりあえず作って、開発中のGtk3アプリケーションのプロジェクトには十分使えることを確認しただけです。
そういう物だとわかった上でお使いください。プルリクエスト、利用報告があれば嬉しいです。

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