アニメのコマを静止画で見るために、動画データを静止画へ変換しました。
連続しているアニメのコマを見るのですから、「コマ送り」よろしくパラパラ漫画のように画像を次々と開いて見ていきたいのですが、Ubuntu標準の画像ビューアで見ると、次の画像へ送る処理が遅い。
そこで、高速な画像ビューアを探すことにしました。
なお、対象画像ファイルは、「『よくわかる現代魔法』ノンテロップOP サイズ:1920 x 1080」を、 ffmpeg ではなく avconv コマンドで静止画に吐き出したフルHDのjpg画像です。
以下、チェック項目の説明。
・「透過対応」は、画像の透過部分を市松背景で表示することを指しています。
透過付き画像が開けないという意味ではありません。
透過対応のテストはSVGファイル形式で行いました。
・「ドロップ対応」は、画像ファイルをビューアのウィンドウにドロップして開けることを指します。
たまにWindowsの標準画像ビューアを使うのですが、いつも手癖で画像をドロップしてから開かないことを思い出して不便に感じる次第です。
(リサイズ済みの画像ビューアと同じサイズで画像が開けると、ディスプレイ不動産を荒さないので便利。)
・「表示カスタマイズ」は、限られたディスプレイ不動産を画像ビューアが占めるにあたって、どれだけ画像自体の占有率を上げられるかを示します。
画像ビューア自体のパーツが邪魔になりディスプレイの縦サイズを目一杯使えなくなるアプリケーションは、UIに重大な欠陥を持っていると思います。
(画像処理はGIMPでやるのでフィルタ機能のアイコンなどがいらない、という私の都合によるのかもしれませんが)
なお、文中で"重い"という言葉を使ってしまうかもしれませんが、すべて"遅い"に読み替えてください。
あくまで画像送りの高速さを求めており、メモリ効率は無視しています。
(私の使っているデスクトップはメモリを16GB積んでいるので、足りなくなったりしないと思います)
極端な話、今回の用途では、画像ビューアは画像ファイルを読めるだけ全部先読みしてメモリは使えるだけ使ってしまって良いと思っています。
eog(Eye of Gnome)
透過: 対応(市松模様)
ドロップ対応: 可
表示カスタマイズ: 可(タイトルバーと画像のみにできる・下部にギャラリーを表示可能)
eog |
Ubuntuの標準画像ビューアです。なぜか遅い。
画像の送りが遅かったため、最初はフルHD画像を50%に縮小。(1980x1080 ->960x540)
さらに画像ファイルをRAMディスク(tmpfs)に載せたのですが、効果はありませんでした。
今回の画像ビューア探しを始めることになってしまいました。
とはいえ、元動画の静止画を連続で見るような用途でなければ遅延は気にならないのではないかと思います。
「アドオンが使用可能」 らしいのですが、なぜかファイルリネーム以上の便利機能を見かけることがありません。
Mirage
透過: 対応(市松模様)
ドロップ対応: 可
表示カスタマイズ: 可(タイトルバーと画像のみにできる)
Mirage (画像は「『よくわかる現代魔法』©桜坂洋・宮下未紀/集英社・「現代魔法」製作委員会」より) |
一番最初に試した画像ビューアです。
フルHD画像を開くのにeogの半分くらいの時間で済みます。(連打するとさすがにカクつく)
だいたい、キーを押して、もう1キー押すくらいの、一瞬の間隔を置いて開く。
後述のShotwellはUIのカスタマイズと使い勝手が少し狭いので、本当に満足できない場合を除けば、高速なeogの替えアプリケーションとして最良かと思います。
CBR Pager
透過: 不明
ドロップ対応: 不明
表示カスタマイズ: 不明
CBR Pager(+file dialog) |
コミックビューアも試してみよう、と思い立ち、目に付いたこのCBRをインストールしてみたのですが。
起動すると、操作パネルがウィンドウの上に浮いているUIがお出迎え。
画像を開こうとするのですが、ドロップには非対応。
仕方がないので「開く」ダイアログを起動すると、見慣れないファイル選択ダイアログが開く。
(古いLinuxアプリケーションには、こういうUIを持つものもあった気がします。)
全体的に、「cbrってもしかしてLISP言語のcdrの間違いなのではないだろうか」と思わせる、初心者お断りな風格。
しかも、デジカメで撮影した .JPG 画像が開けない。
Preview
透過: 不明
ドロップ対応: 不明
表示カスタマイズ: 不明
Preview(+file dialog) |
名前:「プレビュー」(わざわざカタカナにされている)
説明:「画像ビューアー」
という、いかにも使いやすそうなシンプルな名前と説明に騙されるなかれ。
CBRよりさらに見慣れない濃い灰色のUIがお出迎え。
画像ビューと思われるウィンドウとは別に、ディスプレイ左上に独自メニューバーが登場。
そこからファイルを開こうとすると、「左に親ディレクトリの一覧、右に選択したディレクトリ内のファイル一覧」というファイル選択ダイアログが登場。
(なお、ダイアログを横に伸ばすと、さらに階層をさかのぼって親ディレクトリが次々表示されるらしい。)
そして、このアプリケーションもデジカメで撮影したJPG画像が開けないようです。
閉じようとしても、画面右下に不気味な目玉アイコンが残ることがあり、このアイコンからなんとかして独自メニューバーを引きずり出し、「Quit」を押さないとアプリを終了させて目玉アイコンを消すことができません。
CBRに続いてこのアプリケーションを開いたので、「もしかしたら画像ビューアでないアプリケーションを間違ってインストールしてしまったのではないか?」と疑心暗鬼になり、Ubuntuソフトウェアセンターで詳細を確認することにしました。
英語の説明文には、" GNUstep"や"NeXTSTEP spirit"の文字が踊っており、ホームディレクトリに「GNUStep」ディレクトリを作った犯人がついでに判明。
意外なところで過去の遺産と巡り会えるものです。
Ubuntuソフトウェアセンターは、このアプリに限って言えば、積極的に初心者を騙しにいっている気すらします。
不気味な目玉アイコンの時点で気づけよ、と言われたらそれまでですが。
GPicView
透過: 非対応(白背景)
ドロップ対応: 可
表示カスタマイズ: 不可
GPicView |
他の画像アプリケーションとちがい、起動時にホームディレクトリの先頭にある画像を自動で開くようです。
その他には説明するところがないくらいにシンプルです。操作可能なのは、ウィンドウ下部にある操作アイコンのみで、メニューバーすら存在しません。下部の操作アイコンを消す方法はなし。(全画面表示では消える)
アイコンを消せないとなると誤操作が怖いですが、勝手に保存されたりはしませんし、削除の前には確認ダイアログが出るので大丈夫かと思います。
あまり意味のない話ではありますが、インストール後はこのアプリは「イメージビューワ」などとしか表示されません。また「このアプリについて」的なダイアログも存在しないため、これが「GPicView」なのかどうかわからなくなったりします。
ウィンドウタイトル部に画像の元サイズと拡大率が表示されるため、画像のサイズを簡単に知ることができます。
Shotwell
透過: 不明(SVGファイル非対応)
ドロップ対応: 不可
表示カスタマイズ: 不可
Shotwell(+アプリケーションAboutダイアログ) (画像は「『よくわかる現代魔法』©桜坂洋・宮下未紀/集英社・「現代魔法」製作委員会」より) |
実は最初、「Shotwellははじめから選外」にするつもりでした。
というのも、昔のUbuntu環境でデジカメをShotwellで開いたときに、「UIが使いづらくてしかも遅い」というイメージがついていたからです。
ところが、気まぐれにShotwellでフルHD画像を開いたところ、ほぼ遅延なしで開け、画像を送ることができると判明。
(ただし、さすがに送りキーを連打すると、何回かキー押下を無視します。)
これでドロップ対応していたらよかったのですが、残念ながら対応していませんでした。
また、UIのカスタマイズ項目は見当たりませんでした。ウィンドウ下にある操作アイコンを非表示にできません。
とはいえ、Ubuntuに標準搭載されていて、遅延をほぼ感じないほど高速、連続で送っても固まらないので、今回のように「フルHD動画を1コマずつキャプチャしたものを見る」などの「大容量画像を高速に前後に送って見る」ようなときには、最もストレスが少ないと思われます。
雑感ほか
結論:高速な画像ビューアに切り替えたいならMirageがおすすめ。
使いづらくてもなお速度を求めるならば、デフォルト搭載されているShotwellが速い。
あと、マンガビューアは大人しくComixにしておきましょう(無関係)。
デジカメ写真整理を目的とした写真ビューアに対して、UIの出来が悪くて遅いという印象を持っていたのですが、どうやらアプリケーションのバージョンアップによって現在は良くなっている場合もあるようです。
一覧と言いつつ、アプリケーション数が少ない上にうち2件は「開けなかった」というのはどうかと思いますが...自分の用途に合うアプリは見つかったので、とりあえず探索終了。
なお、スクリーンショットに使った画像の一部は、
「『よくわかる現代魔法』©桜坂洋・宮下未紀/集英社・「現代魔法」製作委員会」
より。
それ以外は本ブログ筆者の撮影した写真を使っています。
『よくわかる現代魔法』が写ったものを除く、このページのアイコンおよびスクリーンショットは、自由に転用していただいて構いません。
(もちろん、転載者が自分の責任で使用してください。私は一切の義務と責任を負わないこととします。私が(取った写真に)許諾できる範囲で使用を自由にするだけです。アイコンおよびアプリケーション自体の権利は各ソフトウェア作者やプロジェクトが持っていることを忘れないでください。それと桜坂先生AYNIKの2巻もいいですが現代魔法の7巻は(略) )
そして、誰かアプリケーション数をもっと増やして、Ubuntu画像ビューア一覧を作ってください。
真面目に速度計測したレビューなどが読みたいです。
(自分で調べる面倒がなくなって助かります。)
このあたりは、以前書いた「Ubuntu13.04で使える動画編集ソフト一覧」と同じです。