Ubuntu14.04で使える画像ビューア一覧


アニメのコマを静止画で見るために、動画データを静止画へ変換しました。
連続しているアニメのコマを見るのですから、「コマ送り」よろしくパラパラ漫画のように画像を次々と開いて見ていきたいのですが、Ubuntu標準の画像ビューアで見ると、次の画像へ送る処理が遅い。
そこで、高速な画像ビューアを探すことにしました。

なお、対象画像ファイルは、「『よくわかる現代魔法』ノンテロップOP サイズ:1920 x 1080」を、 ffmpeg ではなく avconv コマンドで静止画に吐き出したフルHDのjpg画像です。


以下、チェック項目の説明。

・「透過対応」は、画像の透過部分を市松背景で表示することを指しています。
透過付き画像が開けないという意味ではありません。
透過対応のテストはSVGファイル形式で行いました。

・「ドロップ対応」は、画像ファイルをビューアのウィンドウにドロップして開けることを指します。
たまにWindowsの標準画像ビューアを使うのですが、いつも手癖で画像をドロップしてから開かないことを思い出して不便に感じる次第です。
(リサイズ済みの画像ビューアと同じサイズで画像が開けると、ディスプレイ不動産を荒さないので便利。)

・「表示カスタマイズ」は、限られたディスプレイ不動産を画像ビューアが占めるにあたって、どれだけ画像自体の占有率を上げられるかを示します。
画像ビューア自体のパーツが邪魔になりディスプレイの縦サイズを目一杯使えなくなるアプリケーションは、UIに重大な欠陥を持っていると思います。
(画像処理はGIMPでやるのでフィルタ機能のアイコンなどがいらない、という私の都合によるのかもしれませんが)


なお、文中で"重い"という言葉を使ってしまうかもしれませんが、すべて"遅い"に読み替えてください。
あくまで画像送りの高速さを求めており、メモリ効率は無視しています。
(私の使っているデスクトップはメモリを16GB積んでいるので、足りなくなったりしないと思います)
極端な話、今回の用途では、画像ビューアは画像ファイルを読めるだけ全部先読みしてメモリは使えるだけ使ってしまって良いと思っています。


eog(Eye of Gnome)





透過: 対応(市松模様)
ドロップ対応: 可
表示カスタマイズ: 可(タイトルバーと画像のみにできる・下部にギャラリーを表示可能)
eog
 
Ubuntuの標準画像ビューアです。なぜか遅い。
画像の送りが遅かったため、最初はフルHD画像を50%に縮小。(1980x1080 ->960x540)
さらに画像ファイルをRAMディスク(tmpfs)に載せたのですが、効果はありませんでした。
今回の画像ビューア探しを始めることになってしまいました。

とはいえ、元動画の静止画を連続で見るような用途でなければ遅延は気にならないのではないかと思います。

「アドオンが使用可能」 らしいのですが、なぜかファイルリネーム以上の便利機能を見かけることがありません。

 Mirage




透過: 対応(市松模様)
ドロップ対応: 可
表示カスタマイズ: 可(タイトルバーと画像のみにできる)
Mirage
(画像は「『よくわかる現代魔法』©桜坂洋・宮下未紀/集英社・「現代魔法」製作委員会」より)


一番最初に試した画像ビューアです。

フルHD画像を開くのにeogの半分くらいの時間で済みます。(連打するとさすがにカクつく)
だいたい、キーを押して、もう1キー押すくらいの、一瞬の間隔を置いて開く。

後述のShotwellはUIのカスタマイズと使い勝手が少し狭いので、本当に満足できない場合を除けば、高速なeogの替えアプリケーションとして最良かと思います。







CBR Pager




透過: 不明
ドロップ対応: 不明
表示カスタマイズ: 不明

CBR Pager(+file dialog)

コミックビューアも試してみよう、と思い立ち、目に付いたこのCBRをインストールしてみたのですが。
起動すると、操作パネルがウィンドウの上に浮いているUIがお出迎え。
画像を開こうとするのですが、ドロップには非対応。
仕方がないので「開く」ダイアログを起動すると、見慣れないファイル選択ダイアログが開く。
(古いLinuxアプリケーションには、こういうUIを持つものもあった気がします。)
全体的に、「cbrってもしかしてLISP言語のcdrの間違いなのではないだろうか」と思わせる、初心者お断りな風格。
しかも、デジカメで撮影した .JPG 画像が開けない。

 

Preview 




透過: 不明
ドロップ対応: 不明
表示カスタマイズ: 不明

Preview(+file dialog)


名前:「プレビュー」(わざわざカタカナにされている)
説明:「画像ビューアー」
という、いかにも使いやすそうなシンプルな名前と説明に騙されるなかれ。

CBRよりさらに見慣れない濃い灰色のUIがお出迎え。
画像ビューと思われるウィンドウとは別に、ディスプレイ左上に独自メニューバーが登場。
そこからファイルを開こうとすると、「左に親ディレクトリの一覧、右に選択したディレクトリ内のファイル一覧」というファイル選択ダイアログが登場。
(なお、ダイアログを横に伸ばすと、さらに階層をさかのぼって親ディレクトリが次々表示されるらしい。)
そして、このアプリケーションもデジカメで撮影したJPG画像が開けないようです。
閉じようとしても、画面右下に不気味な目玉アイコンが残ることがあり、このアイコンからなんとかして独自メニューバーを引きずり出し、「Quit」を押さないとアプリを終了させて目玉アイコンを消すことができません。
CBRに続いてこのアプリケーションを開いたので、「もしかしたら画像ビューアでないアプリケーションを間違ってインストールしてしまったのではないか?」と疑心暗鬼になり、Ubuntuソフトウェアセンターで詳細を確認することにしました。

英語の説明文には、" GNUstep"や"NeXTSTEP spirit"の文字が踊っており、ホームディレクトリに「GNUStep」ディレクトリを作った犯人がついでに判明。
意外なところで過去の遺産と巡り会えるものです。
Ubuntuソフトウェアセンターは、このアプリに限って言えば、積極的に初心者を騙しにいっている気すらします。
不気味な目玉アイコンの時点で気づけよ、と言われたらそれまでですが。


  GPicView


 

透過: 非対応(白背景)
ドロップ対応: 可
表示カスタマイズ: 不可
GPicView

他の画像アプリケーションとちがい、起動時にホームディレクトリの先頭にある画像を自動で開くようです。
その他には説明するところがないくらいにシンプルです。操作可能なのは、ウィンドウ下部にある操作アイコンのみで、メニューバーすら存在しません。下部の操作アイコンを消す方法はなし。(全画面表示では消える)
アイコンを消せないとなると誤操作が怖いですが、勝手に保存されたりはしませんし、削除の前には確認ダイアログが出るので大丈夫かと思います。
あまり意味のない話ではありますが、インストール後はこのアプリは「イメージビューワ」などとしか表示されません。また「このアプリについて」的なダイアログも存在しないため、これが「GPicView」なのかどうかわからなくなったりします。
ウィンドウタイトル部に画像の元サイズと拡大率が表示されるため、画像のサイズを簡単に知ることができます。




Shotwell




透過: 不明(SVGファイル非対応)
ドロップ対応: 不可
表示カスタマイズ: 不可
Shotwell(+アプリケーションAboutダイアログ)
(画像は「『よくわかる現代魔法』©桜坂洋・宮下未紀/集英社・「現代魔法」製作委員会」より)


実は最初、「Shotwellははじめから選外」にするつもりでした。
というのも、昔のUbuntu環境でデジカメをShotwellで開いたときに、「UIが使いづらくてしかも遅い」というイメージがついていたからです。
ところが、気まぐれにShotwellでフルHD画像を開いたところ、ほぼ遅延なしで開け、画像を送ることができると判明。
(ただし、さすがに送りキーを連打すると、何回かキー押下を無視します。)
これでドロップ対応していたらよかったのですが、残念ながら対応していませんでした。
また、UIのカスタマイズ項目は見当たりませんでした。ウィンドウ下にある操作アイコンを非表示にできません。

とはいえ、Ubuntuに標準搭載されていて、遅延をほぼ感じないほど高速、連続で送っても固まらないので、今回のように「フルHD動画を1コマずつキャプチャしたものを見る」などの「大容量画像を高速に前後に送って見る」ようなときには、最もストレスが少ないと思われます。


雑感ほか

結論:
高速な画像ビューアに切り替えたいならMirageがおすすめ。
使いづらくてもなお速度を求めるならば、デフォルト搭載されているShotwellが速い。
あと、マンガビューアは大人しくComixにしておきましょう(無関係)。

デジカメ写真整理を目的とした写真ビューアに対して、UIの出来が悪くて遅いという印象を持っていたのですが、どうやらアプリケーションのバージョンアップによって現在は良くなっている場合もあるようです。

一覧と言いつつ、アプリケーション数が少ない上にうち2件は「開けなかった」というのはどうかと思いますが...自分の用途に合うアプリは見つかったので、とりあえず探索終了。



なお、スクリーンショットに使った画像の一部は、
「『よくわかる現代魔法』©桜坂洋・宮下未紀/集英社・「現代魔法」製作委員会」
より。
それ以外は本ブログ筆者の撮影した写真を使っています。

『よくわかる現代魔法』が写ったものを除く、このページのアイコンおよびスクリーンショットは、自由に転用していただいて構いません。
(もちろん、転載者が自分の責任で使用してください。私は一切の義務と責任を負わないこととします。私が(取った写真に)許諾できる範囲で使用を自由にするだけです。アイコンおよびアプリケーション自体の権利は各ソフトウェア作者やプロジェクトが持っていることを忘れないでください。それと桜坂先生AYNIKの2巻もいいですが現代魔法の7巻は(略) )

そして、誰かアプリケーション数をもっと増やして、Ubuntu画像ビューア一覧を作ってください。
真面目に速度計測したレビューなどが読みたいです。
(自分で調べる面倒がなくなって助かります。)

このあたりは、以前書いた「Ubuntu13.04で使える動画編集ソフト一覧」と同じです。

フォント自作入門(2) グリフデザインの手順


このシリーズではフォントファイルを作る手順を解説します。
そしてこのページでは、「どのようにフォントをデザインするか」を中心に解説します。

ターゲットは、前記事で解説した「ラテン・アルファベット 基本字」の「アウトラインフォント」です。


前提となる技術

グリフの作成は、デザインおよびイラストレーションの工程です。
よって、絵を描いた経験があれば役に立ちます。

また、今回は「アウトラインフォント」を作成します。
「アウトラインフォント」制作は「ベクタ画像を描く」作業です。
IllustraterかInkScapeなどのドロー系ソフトの使用経験があると比較的スムーズに進みます。
経験がない場合、アウトラインフォントの制作のハードルは上がってしまいます。


グリフをデザインする

 グリフデザインの開始地点は、おおまかに2種類に分類されます。

1. 使用目的・コンセプトだけが決まっているが、具体的な形状がない。
『髭の生えた老齢のマスターが経営する、オリジナルブレンドのコーヒーが自慢の喫茶店に置かれた、古いメニュー表に使われているフォントを作りたい。メニューは厚手の紙製表紙でできている。見開きのメニューをひらくと内張りの紙は茶色に変色しているが、コーヒーの跳ね跡はほとんどなく、馴染みの客達がメニューを大事に扱ってきたことがわかる。
このフォントはイラストに使用される。半開きのメニュー表をキャラクタが持っていても、メニューの「Coffee」という文字が読めるほど可読性が高く、縮小されてもつぶれにくい』
というところまで決まっているのだが、ではそのフォントのAの頂点に左右の出っ張りが出ているかどうかというと、それはまったく決まっていないので、グリフとして絵に描くことができない。

2. カッコイイ"R"のデザインだけが完成している。
あとは同じデザインを"A~z"の52文字で繰り返せばいい。

でも自分のRの特徴が「人に説明できるほどはっきり」していないので、残りの文字すべてに、グリフ"R"の仲間に見えるデザインを最初から考えてやらなければならない。

あるいは
3.コンセプトすらない
という段階かもしれません。


ともかく、52個のグリフに共通のアイデンティティを持たせ、統一感を与えるには、作成するフォントのデザインに共通する特徴をはっきりさせる必要があります。
「このフォントはかっこいい」
ではなく、
「グリフ中の横線はすべて、マイナス30度に傾斜している」
という、具体性のあるデザインのルールを決める必要があるのです。
特徴を決めておけば、グリフデザインをスムーズに進められるようになります。

では、自作グリフに目的通りの印象をまとわせるためには、どんな形状を与えればよいのか。
グリフを個性的にする特徴には、どのようなものがあるのか。
その参考になるのが、既存フォントの分類方法です。


フォントを特徴により分類する

ノンデザイナーズ・デザインブックにある分類は覚えておくとよいです。
自分が何を作ろうとしているのか把握できます。

とりあえず、フォントにおける「セリフ」の意味は覚えておきましょう。

詳しくは検索するか、あるいは実際にノンデザイナーズ・デザインブックを読んでください。
Oldstyle
Modern
Slab selif
Sans selif
Script
  筆記体、手書き風、筆書き風
Decorative
  イラストっぽい。文字らしい外見をしていない。
  そもそも文字でないor読めないことすらある。


作ろうとしているのはたぶん、* SelifかScriptかDecorativeだと思います。
アニメに登場するオリジナル言語のフォントは、極端なDecorativeだと言えるかもしれません。
(参考:Madoca Runeとその派生StarTrekに登場する各文明言語など。)

とはいえ、フォントの分類は厳密なものではなく、いくつかの特徴を兼ね備えたフォントも存在します。
セリフの付いたScript体、のようなフォントも作ることができるわけです。
(装飾過剰にするとDecorative化していきますが。)


フォントの分類は、まだアイデアのない段階で参考にすると、
「落ち着いた喫茶店のメニュー表に使えるフォントが欲しい」
というあいまいなアイデアを、
・「Slab selifのような極太で太さが一定のフォントは、求めているものではないな」
・「Oldstyleのような横線が斜めで細いフォントが、白い髭の生えたマスタのいる喫茶店のイメージにピッタリだ」
・「セリフ付きのフォントにすると、作品に使う画像内で目立ちすぎるかもしれないな。サイズの縮小にも弱そうだ」

などと考えながら、フォント種別の特徴を取捨選択していけば、求めるフォントのデザインを具体化することができます。


Script(筆記体風)は難しい

・筆記体が持つ自然な線太さをドロー系ツールで再現するのは(初心者には)難しい
・前後の文字がつながるScript体を作るには、「プロポーショナル」フォントを制作するための深い知識と配慮が要る

プロポーショナルフォントと縦横比

・アルファベットのタテヨコ比は2:1(半角)
・等幅(モノスペース)フォント
・可変幅(プロポーショナル)は、見た目をよくできるが、幅を作業量が増えるため初心者向きでない



以上、まとめとして、
・既存フォントの特徴リストを知っていると、フォントデザインが楽になる
・前後の文字が繋がる形状のScriptは、フォント作成の深い知識が必要なのでオススメしない
・初心者がグリフをデザインするなら、半角のモノスペース



グリフのひな形・プロトタイプ文字列をデザインする


フォントデザインでは、最初にすべてのグリフのひな形となるプロトタイプを作成します。
プロトタイプは、フォントが描き出すグリフを想像して描く、検討のためのイラスト・デッサンです。
プロトタイプの段階では、ラテン・アルファベット52字をすべて描く必要はありません。


プロトタイプに使う文字列は、そのフォントがよく使われる文字列がわかっている場合、それを使うべきです。
作品タイトル・登場キャラクタ名などがそれに該当します。

また、特徴的な形状を持つ文字を含む文字列も、プロトタイプ文字列の候補になります。
ベースラインの下に突き出るグリフとなる"y" "g"が含まれる文字列などです。

また、最も重要なのは、下で説明する「出現頻度」です。「作品タイトル」はこの出現頻度を利用したプロトタイプ文字列選択の類例であると言えます。

 たとえば、MagiCursiveプロジェクトでは、作品の英語版タイトルである
「Puella Magi Madoka Magica」(特に最初の"Puella")
をひな形のターゲット文字列として採用しました。
実際に、「Puella」を最初にMadokaRuneで書き出してから、プロトタイプ作成を開始しています。


プロトタイプ文字列が思いつかない場合、"A Very" "The Velocity" から始めればよいと思います。


出現頻度

人間の使う言葉において、すべての文字が等しく使用されるわけではありません。
文字には出現頻度があります。
このことは、プロトタイプ文字列の選定をふくむ、グリフデザインのすべての工程において重要です。
英語の場合、単語では"the"、文字では"e"が他に抜きん出て多く使用されることが知られています。つまり、ラテン・アルファベットのフォントで"e"のグリフデザインが少し悪かっただけでも、すべてが台無しになります。
逆に、''q"のデザインで大失敗をしても、多くの場合は表示すらされないため問題になりません。
ターゲット作品のあるフォントでも、プロトタイプ文字列に悩んだら、出現頻度の高い文字を含む文字列を選択するとよいでしょう。


グリフの生産

グリフの本デザイン

すべてのグリフを描くことにはなりますが、出現頻度の高いフォントに労力を傾けましょう。

フォントファイル作成アプリケーションであるFontForgeに取り込める形式で、グリフを描いたファイルを用意する必要があります。FontForgeに取り込むベクタ形式ファイルとしてはsvgが最適です。また、svgに変換可能であるため、AI形式でベクタに起こしても大丈夫です。

最初からFontForge上でデザインする・FontForge上でラスタからベクタに起こすやり方もあるのですが、残念ながらFontForgeはドロー系アプリとしてはけっして使いやすくありません。

よって、慣れるまでは、グリフひとつごとに
1. ラスタでデザイン
2. ドロー系アプリでトレスしてsvgのベクタ形式に起こす
3. FontForgeに取り込む
という作業手順を踏んだほうがよいです。

また、「svgのベクタ形式」 も、作り方によってFontForgeへの取り込み作業の手間が大きく違います。(そのあたりの話はまた次回)

グリフのデザイン中は、他の文字のグリフを隣に並べて作業すると、グリフのサイズがちぐはぐになることを防ぐことができます。


まとめ







グリフデザインは
1. 少ない文字でグリフの形状を決める
2. 全文字のグリフを量産する
3. ドロー系ツールで清書する
の手順で進む

・作りたいフォントの形状の特徴をはっきりさせる
 (ex.「セリフ」はついているか?)
・Script(筆記体風)は「つなぎ」が難しいので、初心者が挑戦するのはおすすめしない
・等幅(モノスペース)
・プロトタイプは手書きでターゲット文字列から作り始める・ラテン・アルファベット のグリフの縦横比は1:2
・グリフは、とりあえずIllustraterかInkScapeでベクタ画像ファイルとして用意する
 

次回はグリフの集合(svgラスタ形式のグリフファイル)をフォントファイルに変換・出力する方法を説明します。

2014/09追記:
フォントの作り方を説明するより先にルーン文字フォントのリリースが先になってしまいました。
というか、フォント作ったことのない人間が解説するよりはリリースがあったほうが良いので、ある意味これでよかったのかもしれませんが。
友人にフォントの作り方を説明する必要もあるので、なんにせよ「自作フォントの作り方」は、いずれ続きを書きます。

フォント自作入門(1) フォントとは何か?

このシリーズでは『わたしたちの作ろうとしている「フォント」とは何か?』をはっきりさせるところから始めて、フォント作りにかかる労力・フォントデザインのテクニック・フォントファイルが出来上がるまでの手順を解説します。そしてこのページでは、用語の整理からはじめて、「何を用意すればフォントになるのか」までを解説します。

話は、わかりやすくするために単純化している部分があります。
「文字」とフォントには、人類誕生よりあとの「言語」が持つ長い歴史がそのまま凝縮されています。その複雑さは初学者(そして何より説明する私自身)を混乱させるためです。


前提となる知識

フォントの作り方を検索してこのページにたどり着いたはずですから、「フォント」という言葉と、フォントで何ができるかはなんとなくわかっていると思います。
 画像ソフトウェア(Photoshop/GIMP/SAIなど)で、ロゴやポスターを作ったことがあり、フォントやフォントファイルを取り扱った経験があれば、理解の助けになると思います。

「ベクタ形式」のメリットがあらかじめわかっている方であれば、申し分ありません。

フォントとは?

まず、フォントが何であるかを知り、区別のあいまいな関連用語の意味をはっきりさせます。

文字/グリフ/デジタルフォント

・ひとつしかない概念「文字」 → 文字に対していくつも存在する"外見"が「グリフ」
・文字に与えるグリフの集合が「フォント」または「フォントファイル」

“A”という字は 1 個の文字であり、その一方、
 
はすべてが、“A”を表現するグリフの一例です
-FontForge公式ユーザマニュアル「初歩的な 概念:フォント~」より

イラストソフトで文字を入力したことがあれば、フォントを切り替えると「MSゴシック」と「MS明朝」が同じ言葉でもまったく異なる外見と雰囲気を持つことを経験として知っていると思います。

そして今回、わたしたちの作りたいものは、「グリフ」であり、「文字」に対して表示されるグリフを格納した「フォントファイル」ということになります。

グリフをいくつ作ればよいか?

必要な数のグリフをデザインして、フォントファイルに変換すればフォントが作れるということがわかりました。
では、グリフはいくつ作れば良いのでしょうか?

漢字

日本語には漢字があり、「すべての漢字をカバー」するフォントを個人が作るのは現実的ではありません。
漢字は常用漢字だけでも2136字あります。
さらに、常用漢字に収録されていない漢字には「伊、嘘、萌、蝶、釘」など、よく使われる漢字・有名な漢字がたくさんあります。
日常に使える日本語フォントを作るなら、常用漢字の外にある漢字を含む、JIS漢字コード1万50字が最低ラインです。
たとえば、漢字を(ほぼ)すべてを網羅するために、「IPAmj明朝フォント」は6万718個のグリフを収録しているそうです。
個人制作のフォントでは、現実的には、漢字のグリフを収録するにしても、ごく一部の漢字(タイトルと主要登場人物名など)だけを収録し、残りは諦めることになります。

ラテン・アルファベット 基本字

漢字入りフォントは2000字を用意してやっとスタートラインに立てます。
一方で、アルファベットは大文字・小文字含めて、52字+記号しかありません。
句読点(,.)やアスタリスク(*)などの記号を収録しても、70字程度に収まります。
つまり、アルファベットのグリフを用意してフォントを作るのは、日本語フォントに比べてはるかに簡単です。
なお、私たちが「アルファベット」と呼んでいるものは、「ラテン・アルファベット 基本字」というものです。

たとえば、Madoka Runeは、外見からはまったくそう見えませんが、あらゆる英語およびその他のあらゆるラテン・アルファベット文字使用言語で使用可能な「ラテン・アルファベット 基本字」のグリフです。
海外有志が解読したため、文字とグリフの対応関係がわかっています。
100字に満たない収録グリフの中には、ドイツ語で使用するエスツェット「ß」とウムラアト「ÄäÜüÖö」まで含まれています。

仮名(ひらがな・カタカナ)

ひらがなは45字あります。
正確には、仮名のフォントを用意するならば『現代の仮名「五十音」に含まれる44字に「を」を加えた45字の「清音」』が必要です。
ここからさらに、
・歴史的仮名遣いの「ゐ」と「ゑ」(2文字)
・濁音「ばびぶべぼ」(20文字)と、半濁音「ぱぴぷぺぽ」(5文字)
・小さな文字「ぁ-ぉ、ゃ-ょ」(8文字)
を追加するかどうか決めることができます。
とはいえ、濁音・半濁音は清音のグリフに「」「゜」を付けただけのものなので、清音と別のデザインにしなければ大した労力はかかりません。

例としてひらがな・カタカナを収録している「めんまフォント」はこのあたり上手くできています。
「めんま」というキャラクタとめんまフォントの用途からして、ひらがな・カタカナのグリフを収録すればよく、漢字グリフを作らなくてよいわけです。



もちろん、『特定の作品に登場する有名なセリフだけカバーできれば、それでいい』という割り切り方もありです。その場合、フォントを作るより、タイトルロゴを作るほうが効率的かもしれないので、検討する価値があります。

目的が定まっていない状態で多用途に使えるフォントを作りたいならば、あらゆるラテン・アルファベットの長文で使用できる「ラテン・アルファベット 基本字」のグリフを、最小限かつ十分である約70文字作るのがオススメです。


ビットマップフォント vs アウトラインフォント

フォントを作るにあたって、用途により「ビットマップフォント」 か 「アウトラインフォント」かを選ぶ必要があります。

現代のフォントは、拡大・縮小に強いアウトラインフォントが主流です。
アウトラインフォントであれば、たとえば今日Pixivへアップロードした300x200pixel画像で使ったのと同じフォントを、秋葉原のソフマップ7階建て屋上から地上までビル全体を覆う巨大な看板広告でも、使うことができます。

ただし、アウトラインフォントは極端な縮小に弱いため、ドット絵のゲームに使用するなど、10px以下で表示するためのグリフが欲しいなどの特別な場合は、「ビットマップフォント」を選択します。


まとめ

以上をおおまかにまとめると、
・フォントを作るには「グリフ」画像を必要な数だけデザインすればよい
・「グリフ」を用意しやすく広く使える「ラテン・アルファベット 基本字」がオススメ
・「アウトラインフォント」形式がオススメ(10px以下の大きさで使う専用、など特殊用途を除く)
となります。

このページでは、「グリフを用意すればフォントが作れる」ことを説明しました。
次のページでは、「どうやってグリフを用意するか?」を扱う予定です。

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